「障害児がいじめる側に回るとは考えられない」?

報告書に"不適切"記述
発達障害児がいじめ? 議員連盟が質問状


政府の教育再生会議がまとめた一次報告書が障害児教育に触れていないほか、発達障害児がいじめの加害者であるかのような記述があるかのような記述があるとして、尾辻秀久厚生労働相ら「発達障害の支援を考える議員連盟」有志が二十九日、同会議に真意を問う質問状を提出した。
 議連が問題視しているのは、報告書の「七つの提言」の中、いじめや生徒、教員に対する暴力など問題行動を取る子どもへの適切な指導を学校にもとめるくだり。「その際、LD(学習障害)、ADHD注意欠陥多動性障害)による行動でないか等、問題行動の背景に十分注意する必要がある」としている。
 尾辻氏は「障害児がいじめる側に回るとは考えられない。何をどう注意するのかさっぱり分からない」と主張。これに対し、同会議担当室事務局長の山谷えり子首相補佐官は「偏見を持たずに(その子どもに合った)支援をしましょうという趣旨」と説明した。


中日新聞1月30日朝刊

お前は何を言っているんだ(ミルコ略)

障害児がいじめる側に回るとは考えられない。何をどう注意するのかさっぱり分からない」…これはひどい

まあ、その発言もトリミングされてるのかもしれんが…それにしたってこんな質問状を出したってことは「暴力など問題行動を取る子ども」の指導をするときに発達障害を考慮に入れるなんてとんでもない!と言いたいんだろ?「発達障害の支援を考える議員連盟」が聞いてあきれる。

うまく周囲とコミュニケーションがとれなくって、いかんともしがたく「いじめてしまう」子、わかってもらえなさにとまどって衝動的に「手が出てしまう」子、そういう子どもたち(ホントは子どもに限らないのだけど)を切り捨てる気なんですかね。

問題児はただの「しつけのなってない奴」とみなせ、ってか。そりゃただのクソガキもいるだろーが、「LD(学習障害)、ADHD注意欠陥多動性障害)による行動でないか等、問題行動の背景に十分注意」してこそ適切な処置ができるのにそりゃないぜ。生きづらさに悩んで苦しんで僕は悪い子なんだ、っていう自己評価が染みついてしまう前に投薬やカウンセリングで救うことができるかもしれないのに。

のび太・ジャイアン症候群 - Wikipedia
のび太ジャイアン症候群(のびたじゃいあんしょうこうぐん)は、いじめられっ子といじめっ子の典型例をさす言葉。

司馬理英子命名で、藤子・F・不二雄の漫画作品ドラえもんの登場人物、野比のび太ジャイアン(剛田武)に由来する。いじめっ子といじめられっ子を、心の病(※)として捕らえるのが特徴。

しかし、のび太ジャイアンの性格は、作品によって大きく変わっている場合が多く、その定義が難しい。例えば、通常連載のコミック版の多くでは、単純な「いじめの図式」である。映画版では、この「いじめの図式」に加えて、互いに認め合い、頼りあい、力を貸しあって困難に立ち向かう…という、友情が描かれている。

※心の病とは、あくまで引用元となる書籍における表現であり、実際にはADHD(注意欠陥・多動性障害)その他の発達障害は、脳や中枢神経に原因のある障害とされ、精神病ではない。

のび太・ジャイアン症候群―いじめっ子、いじめられっ子は同じ心の病が原因だった

のび太・ジャイアン症候群―いじめっ子、いじめられっ子は同じ心の病が原因だった

ジャイアン型っていう説明はわかりやすくするために単純化してあるし、メンヘル業界も心の病を安売りしすぎでナニだけど、こんな本もあるぐらいなんだよな。

安易に発達障害認定する風潮や、アメリカみたいにリタリンが簡単に手に入りすぎるようになることを憂慮するんならわかるしむしろ意義があるんですけど、「障害児がいじめる側に回るとは考えられない」とかナニを考えてるんだと。「障害」についてどんな認識を持っているんだと。コレは純粋に脳や神経の器質的な問題なのに。
未だ世間じゃ発達障害に対する認識は低くて困ったものです。

だよなー。俺だって、彼女いない暦イコール年齢なのは別にもてないからじゃなくて「恋愛できない脳」だからしかたがないんだ、っていってもなかなか理解されないもんな。まったく意識の低い連中だぜ。

恋愛できない脳

恋愛できない脳

だーかーらー、あんたみたいなご都合主義の自称メンヘラが正確な知識の普及の足を引っ張ってるって気づけよ!

……スミマセン本当はただの非モテです。



追記

http://www.asahi.com/national/update/0129/TKY200701290289.html
自民党尾辻秀久厚労相公明党福島豊衆院議員らは29日、政府の教育再生会議がまとめた第1次報告書について、「発達障害の子どもへの偏見を助長しかねない表現がある」として説明を求める公開質問状を、同会議の野依良治座長あてに提出した。

 尾辻氏らが問題にしているのは、報告書の「いじめている子どもや暴力をふるう子どもには厳しく対処する」という提言中で、「いじめがLD(学習障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、アスペルガー症候群や虐待による行動でないかなど、問題行動の背景に十分注意する必要がある」とした部分。

 「報告書の中には、障害児教育について一切記述がないにもかかわらず、この部分でだけ発達障害について触れると、障害児がいじめの加害者になる可能性が高いと一般の人びとから誤解される」として、表現の訂正などを求めている。

 対応した再生会議担当の山谷えり子首相補佐官は「表現は偏見に基づくものではなく、発達障害の子どもへの十分な配慮を求めたもの」として、訂正に応じるのは困難との考えを示した。

「障害児がいじめる側なんてありえない」と「この部分でだけ取り上げると誤解される」ではかなり印象が変わりますね。中日の記事だけでちょっと早まって批判しちゃったようです。ごめんなさい。

RIN(1) (ヤンマガKCスペシャル)

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